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【2024年最新版】日本のインバウンド観光の課題とは?具体的な集客の方法も紹介
日本のインバウンド観光は、国内経済と地域再生の手段として重要な産業です。
2024年9月の訪日外国人旅行客数は2,872,200人と過去最高を記録し、新型コロナウイルス流行前の2019年9月と比べて26.4%増加。さらに、インバウンドによる旅行消費額も過去最多を更新する見込みです。
一方で、観光客が集中するオーバーツーリズムや観光施設や飲食店、ホテル等の人材不足など、人気観光地ならではの課題も次々と浮上しています。
この記事では、日本のインバウンド観光が抱える問題点や課題を最新データをもとに紹介し、それらを解決する具体的なマーケティング施策などを解説します。
2024年現在の日本のインバウンド状況
日本政府観光局(JNTO)が発表した2024年10月の「訪日外客数(2024年9月推計値)」によると、9月の訪日外国人旅行客数は2,872,200人で、2023年9月比で31.5%増、2019年9月比で26.4%増となり、8ヵ月連続で同月過去最高を記録しました。
また、2024年度は9月までの累計が26,880,200人で、2023年の年間累計である25,066,350人をすでに超えています。
参照先:日本政府観光局(JNTO)「訪日外客数(2024年9月推計値)」
計測23地域のうち18地域で過去最高を記録
2024年9月時点で訪日外国人旅行客数が多い上位5ヵ国は、韓国、中国、台湾、香港、タイでした。
これまで最も訪日外国人旅行客数が多かった新型コロナウイルス流行前の2019年9月と比べて、計測している23地域のうち18地域で過去最高となっています。
韓国、中国、台湾、香港については祝日やイベントの影響もあり、2023年9月比でいずれも10%以上増加しており、1〜9月までの総数でも30%以上の伸び率となる結果が報告されています。
世界の観光地ランキングで3位に!
2024年5月に発表された世界経済フォーラム(WEF)の「旅行・観光開発ランキング(2024)」では、アメリカ、スペインに次いで日本は3位という結果が出ています。
参照先:世界経済フォーラム(WEF)「旅行・観光開発ランキング(2024)」
以下は、ランキングを決める指標の中で、日本が観光地として高く評価された項目です。
評価項目
- 文化資源:遺跡や伝統文化などの観光スポット、娯楽施設の質が良い
- 非レジャー施設:観光以外のビジネス目的・教育旅行を数多く誘致している
- 健康と衛生:医療施設の数と利便性、健康に関する安全性が高い
- 地上と港湾インフラ:道路や鉄道など観光スポットまでの交通機関が充実している
- ICT整備度:インターネット環境とデジタルサービスを安定して使用できる
一方で、宿泊施設や飲食店の使いにくさ、国内旅行客のピークシーズンへの集中が表面化しており、オーバーツーリズムの問題や人材不足を解決する必要性が指摘されています。
日本は観光資源が豊富にあり、コロナ禍後も右肩上がりで訪日観光客が伸び続けていますが、あまりの伸び率に、国や自治体、企業の対応が追いついていない印象があります。
日本におけるインバウンドの課題
日本におけるインバウンドの課題は、「受け入れ体制」「地域の格差」「集客の不足」の3つに分けられます。
受け入れ体制の課題
日本は観光資源が豊富にあり、世界でも広く認知されています。
近年では有名観光地だけでなく、地方の食や和の文化を楽しむインバウンド観光も注目されています。
しかし、短期間で観光客が爆発的に増えたこともあり、受け入れ体制の整備が遅れていることが大きな課題です。
受け入れ体制の主な課題
- ・Webサイトやパンフレットの多言語対応
- ・翻訳・案内ツールなどのデジタル化
- ・観光地への交通手段の不足
- ・Wi-Fi環境の整備
- ・キャッシュレス決済の対応
地方の過疎化とオーバーツーリズム
受け入れ体制と集客の課題が解決できない要因の一つとして考えられるのは、地方の過疎化による人材不足です。
実際に魅力的な観光スポットが多い田舎エリアでも、
- 一度に多くの観光客に対応できない
- アクセスが悪く交通手段が乏しい
- 文化体験などの企画・運営する人が少ない
など、人材不足によってさまざまな問題が発生しています。
観光地ごとのユーザビリティに格差が生まれることで、オーバーツーリズムにさらなる拍車がかかる可能性があります。
実際に京都をはじめとした人気観光地では深刻なオーバーツーリズムが起きており、「一般市民がバスに乗れない」「どの飲食店も1時間以上の行列が発生する」など、多くの問題を現地の人から耳にします。
また、地方では、地域経済が訪日外国人の観光ビジネスに依存しやすいという問題もあります。
集客の課題
数々の課題を解決するには、観光地ごとの集客力を高めることが重要です。
しかし、インバウンド集客の手法は国内観光とはアプローチが異なるため、専門的な知識が必要になるのが難点です。
よく聞くインバウンド集客の課題
- 国内の集客ノウハウを応用しにくい
- ・外国人旅行客に詳しい人が少ない
- ・集客イベントを企画できる人が少ない
- ・海外マーケティングの知識が必要
集客の課題を解決できないと、日本各地に存在する価値の高いサービスや、まだ知られていない穴場の観光地が外国人旅行客に認知されません。訪日旅行客のリピーターを増やすためにも、早急に対策を打ち出すことが求められます。
一方で、良質なサービスやお店、商品をすでに持っている場合、集客を改善することで驚くほど大きな効果を生み出せる可能性があります。
インバウンド集客でよくある4つの課題
年々増加傾向にある訪日外国人旅行客ですが、思ったように集客できずにいる企業や店舗も少なくありません。
特に地方の観光地やニッチなサービスを扱う企業の場合、魅力的なアクティビティや観光施設があるにもかかわらず、訪日観光客に伝わっていないケースがあります。
まずはインバウンド集客でよくある課題を整理してみましょう。
海外文化や需要を押さえたマーケティング
インバウンド集客においては、自社の商品・サービス・観光施設などを海外に住むターゲットに認知してもらうことが重要です。
魅力的な日本の情報をタイムリーに発信する手段として、下記のような手法があります。
海外マーケティングの一例
- 日本をテーマにした観光メディアの運営
- 海外向けWeb広告や限定キャンペーン
- 公式SNSによるサービスの発信
- 現地出店や参加型イベントの企画
しかし、外国人旅行客のニーズは、日本人の視点からは予想しにくいのが難点です。
地域に精通したネイティブの意見や、徹底した現地リサーチを取り入れなければ需要の見極めが難しく、マーケティングの失敗を招く大きな原因となっています。
また、自社の商品・店舗・サービスを訴求するには、信頼やブランド力をゼロから積み上げていく必要があります。
ただし、海外ブランディングは進め方や注意点が国内とは大きく異なるため、日本での成功体験を応用しにくいのが特徴です。
日本では有名な企業であっても、海外での認知拡大やブランド化に失敗しているケースは多々あります。それだけ魅力の創出や集客の難易度は高いことがわかります。
公式サイトの多言語化対応
インバウンド集客には、商品やサービスを多言語で発信する公式サイトの整備が欠かせません。
日本人向けのサイトとは異なり、ターゲットの属性によって国や地域が広範囲にわたるため、各言語ごとに翻訳やデザインの調整など多くの作業が発生します。
外国人旅行客が使いやすく魅力的なサイトを制作するには、日本語サイトの自動翻訳では質が低くなりやすく、制作に大きな労力とコストがかかることが課題となっています。
集客プロモーションの不足
インバウンドに適した集客プロモーションには、外国人旅行客が求めるタイミングでの情報発信が必要です。
集客プロモーションとして効果的なのは、SNSによる積極的な発信や旅行メディアの口コミ投稿、インフルエンサーの活用などがあります。
しかし、現状では予算・工数・人員の都合によるプロモーション不足により、訪日観光客への情報発信や認知獲得に失敗している企業が多いのが現状です。
インバウンド施策が思うようにできない原因
- ターゲットが明確化できていない
- 集客イベントやプロモーションの企画経験者がいない
- 効果的なプロモーション施策がわからない
- 集客に使える予算が限られている
人手不足
観光施設や宿泊業界では、急激なインバウンド需要の増加で人手不足が深刻になっています。
一方で、海外での認知拡大やマーケティングに詳しい人が少ないというインバウンド集客の課題もあります。
特に海外マーケティングの場合、十分な予算と人材を確保しやすい大企業であっても苦戦を強いられる市場なので、中小企業や個人店の集客はより難しくなります。
インバウンドの課題を解決するマーケティング手法6選
日本のインバウンドの課題の中でも、「集客の課題」については、適切なマーケティング施策を行うことで解決できます。
ここからは、比較的すぐに着手できる人気のマーケティング手法6選を紹介します。
公式サイトの多言語化
公式サイトはあらゆる集客ツールをまとめる役割があるため、インバウンド集客を考えるのであれば多言語化は必須です。
しかし、日本語サイトをただ自動翻訳したサイトや、現地の文化や言語に詳しくない人が制作するサイトでは、内容が不正確に表現される可能性があります。
そのため、現地の文化習慣に精通したネイティブの翻訳者やデザイナーへの依頼を検討しましょう。
ホームページを多言語対応させる方法には、複数のパターンがあります。詳しく知りたい方は下記の記事も参考にしてください。
コンテンツSEO
海外と日本では主流となる検索エンジンが異なるため、その特徴に沿ったSEOを実施する必要があります。
ターゲットとなる国や地域の文化・トレンドを理解し、高い精度でローカライズされたコンテンツを用意しましょう。
【2024年最新版】海外SEO対策の特徴とは?日本SEOとの違いやコンテンツ制作のポイントを徹底解説
SNSマーケティング
インターネット先進国ではSNSの浸透率が高く、ビジネスや日常生活の情報収集手段として広く使われています。
インバウンド集客においてもSNSを使ったアプローチは幅広い層にダイレクトに働きかけられるため、効果的な手法といえるでしょう。
ターゲットとなる地域で人気のSNSでアカウントを運用する、影響力のあるインフルエンサーを起用するなど、ブランディングやプロモーションで高い訴求効果を狙いましょう。
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Web広告マーケティング
Web広告はユーザーの興味・関心や行動履歴に基づいて配信されるため、訪日旅行を予定しているターゲットにマッチしたコンテンツを配信できるメリットがあります。
多くの訪日観光客はスマートフォンやタブレットを持ち歩くため、場所を選ばず精度の高いターゲティングが可能です。
そのため、移動先のイベント情報やクーポン配信など、地方の観光スポットのPRにも有効です。
YouTube運営やライブ動画の配信
観光地のサービスやアクティビティの魅力を伝えるには、YouTubeやライブ配信などの動画コンテンツが非常に効果的です。
実際に観光しているかのようなリアルな映像に信頼感や安心感を与え、現地訪問を促す効果が期待できます。
質の高い動画を発信することで、外国人旅行客にはまだ知られていない観光スポットやホテル、レストランなどの魅力を効果的にアピールできます。
海外の口コミサイト・OTAへの投稿
インバウンド集客の手法として、海外向け口コミサイトやオンライン旅行予約サイト(OTA)への投稿も有効です。
口コミサイトでは、中国の「大衆点評」や「Fliggy」、台湾の「批判踢踢(PTT)」 「Dcard」「背包客棧」、英語圏向けには「トリップアドバイザー」などが多く利用されています。
また、クーポンや割引キャンペーンを連動させることも可能です。OTAへの投稿は、宿泊以外に観光ツアーやアクティビティも掲載できるため、地方の観光地の集客にも役立ちます。
その他のインバウンド集客施策に関しては、下記の記事でも紹介しています。
インバウンド集客に効果的な施策とは?代表的な方法8選
インバウンド集客施策の相談はどこにするべき?
インバウンド集客を成功させるには、海外SEOや多言語サイトの構築などの施策が必要です。
海外向けのブランディングやマーケティングは、ターゲットとなる国や地域ごとの言語や文化、トレンドに深く関わるため、国内向けの施策とは手法が異なります。
そのため、豊富な実績や専門知識を持つ海外マーケティングのプロフェッショナルに相談するのが効果的です。
また、質の高いコンテンツ制作には、ネイティブレベルの翻訳や修正が必要なため、精度の高いローカライズを行えるかも重要な選定ポイントです。
インバウンド集客の相談や依頼先の選び方については、下記の記事で詳しくまとめています。
インバウンド集客の相談はどこにするべき?依頼先を選ぶ際のポイントを解説
インバウンドの課題はマーケティングで解決
インバウンドの課題を解決するためには、ターゲットとなる国や地域の現状をふまえたマーケティングを実践することが重要です。
多言語サイトによるブランディングやSNSマーケティングなどが成功のポイントとなるため、現地の文化やトレンドを把握した上で戦略を立てましょう。
海外向けのマーケティングは専門的な知識が必要なため、海外市場に知見や実績を持つ専門家に相談するのがおすすめです。
海外SEO対策の相談ならShiroKuへ
ShiroKu株式会社では、海外SEO対策や多言語コンテンツ制作、インバウンド集客など、海外向けマーケティングサービスを手掛けています。
経験豊富なネイティブスタッフが多数在籍し、海外の知見を活かして戦略設計からサイト制作、集客、分析、改善まで一貫体制で集客をサポートいたします。
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執筆者
八十島 匠(やそじま たくみ)
フリーランスライターとして5年ほど活動したのち、独学でWebマーケティングを学び、大手観光メディアを運営する会社のディレクターに抜擢。旅行・観光系ジャンルを中心に、美容・インテリア・グルメ・ファッション・人材・テクノロジーなど、さまざまなメディアの立ち上げに従事。SNS運用や縦型動画をはじめとした最新マーケティング・海外SEO戦略にも幅広い知見を持つ。
監修者
李美玲(リ・メイリン)
台湾でWeb制作会社やデジタル広告代理店を渡り歩き、Webキャンペーンの企画、ディレクション、コピーライティング、広報など多岐にわたる経験を積んだのち、2017年に来日。ネイティブ視点に基づいたマーケティング企画の立案やコンテンツ制作を得意とし、中小企業のサイト構築・集客から大手企業のインバウンドメディア立ち上げプロジェクトにも参画。台湾・香港の最新マーケティングにも精通しており、多岐にわたるニーズにお応えします。