インバウンド集客に効果的な施策とは?代表的な方法8選

訪日観光客を呼び込むためには、効果的な施策が必要不可欠です。

インバウンド集客の成功には、多言語対応のWebサイトやSNSの活用、海外OTAへの掲載など、多様な手法が求められます。

例えば、自社Webサイトを多言語化することで、ターゲット国からのアクセスを増加させながら、自社サービスのファンを増やすことができます。

本記事では、インバウンド集客のための実践的な方法を具体例とともに紹介します。

記事で紹介する施策を活用して、インバウンド集客を最大化しましょう。

インバウンド集客とは?

インバウンド集客とは、訪日観光客を自社の商品・サービスや地域に呼び込むためのマーケティング手法を指します。

例えば、日本では「訪日観光客を増やすために観光名所の情報を多言語で提供する」「SNSでのプロモーションを活用する」などの手法があります。

マーケティング施策によって海外の人々に興味を持ってもらい、商品の認知度向上や売上増加につなげることが目的です。

施策の詳細については、下記の動画でも詳しく解説しています。聞き流し音声で学びたい方もぜひご覧ください。

インバウンドが近年注目される理由

訪日外国人旅行者数は2012年より右肩上がりで上昇し、2019年には3,188万人に到達しました。

コロナ禍で一時は訪日外国人の数が著しく下がったものの、2023年には2,507万人まで回復しています。

政府は訪日外国人旅行者の受け入れに積極的で、2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人、訪日外国人旅行消費額15兆円の達成を目指す考えを示しています。

参考:訪日外国人旅行者数・出国日本人数 | 観光統計・白書 | 観光庁

インバウンドが注目される理由には、国内消費市場の縮小と、海外観光消費の拡大の2点が挙げられます。

日本は少子高齢化で国内消費が減少しており、GDPの成長も鈍化しています。

しかし、訪日観光客の消費は増加しており、経済効果が非常に大きくなっています。

日本の豊富な観光資産や文化を活かして、訪日観光客を呼び込むサービスが求められています。

また、インバウンドは地方活性化にも効果的です。

海外で人気の日本文化やブランドを活用して、地方創生や体験型観光を強化できます。

オーバーツーリズム(一部の人気観光地にのみ人が集中して混雑すること)の緩和策として、訪日観光客を都市部から地方へ誘導するなど、新たな観光地となり得る地域を活性化させてブランド化することも今後の課題と言えるでしょう。

訪日観光客はどのように情報を収集するのか?

訪日観光客が情報を収集する方法について、最新のデータから調査しました。

最も多いのが動画サイト(YouTubeなど)であり、そのほかSNS(Facebook/Twitter/微信等)、個人ブログなども有力なツールとなっています。

スマホやPCからアクセスしやすく、Vlogなどからリアルな体験を知ることで「自分も訪れてみたい!」という気持ちになると推測できます。

また、自国や日本在住の親族・知人も貴重な情報源です。

信頼できる人物からの情報は安心できるだけでなく、感性も似ていることから、実際に旅行して楽しめるという手応えを得やすいでしょう。

日本在住の親族や知人と会って交流を楽しむのも、訪日旅行の目的のひとつに挙げられます。

日本政府観光局や宿泊施設、航空会社のホームページなども有力な情報源です。

旅行先が決まっていないものの、宿泊プランや割安な航空チケットを発掘して予約するという旅行者も一定数存在するようです。

参考:訪日外国人消費動向調査 | 観光統計・白書 | 観光庁
「2023年年間値の推計」集計結果
※確報値 「出発前に役に立った旅行情報源」※回答者数=31,873

インバウンド施策の種類と分類

インバウンド施策の種類と分類は、主に旅マエ(訪日前)・旅ナカ(訪日中)・旅アト(訪日後)の3種類に分けられます。

それぞれの概要を下記の表にまとめています。

タイミングターゲットのアクション施策の方針具体施策の例
旅マエ(訪日前)メイン:情報収集
サブ:旅行商品購入
集客・認知度の向上 (知ってもらう)・サイトのSEO対策
・SNSマーケティング
・インフルエンサーの活用
旅ナカ(訪日中)メイン:旅行商品購入
サブ:情報収集、体験共有
プロモーション (消費を促す)・クーポン配布
・位置情報広告
・AR/VRを活用した体験提供
旅アト(訪日後)メイン:体験共有
サブ:次回旅行の検討
リテンション (リピート促進、口コミ拡散)・口コミマーケティング
・アンケート実施
・フォローアップメール

旅マエ(訪日前)

旅マエ(訪日前)では、旅行者に自社の存在や商品・サービスを認知してもらうことが重要です。

一例として、YouTubeに観光地の魅力を伝える質の高い動画を投稿することで、訪日前の外国人に興味を持ってもらうことができます。

また、SNSマーケティングも効果的であり、InstagramやTikTokの投稿が旅行者の興味を惹きつけます。

旅ナカ(訪日中)

旅ナカ(訪日中)では、実際に日本に到着した後の行動を予測し、効果的にアプローチすることが重要です。

例えば、店舗の近くで検索されやすいようにGoogleビジネスプロフィールを多言語対応にする、屋外広告や交通広告を活用して目に留まるようにする方法が挙げられます。

また、訪日観光客の旅行プランをサポートする買い物・翻訳・交通・アクティビティなどの各種サービスを開発・提供することも効果的な施策になるでしょう。

旅アト(訪日後)

訪日旅行者が帰国した後も、日本の魅力を伝えるための施策として口コミを活用したマーケティングがあります。

例えば、レストランでの食事やホテル宿泊、観光スポットでの体験をSNSに投稿してもらうことで、他の海外ユーザーにも好評な内容が広まります。

店舗にはQRコードを設置するなど、口コミ投稿を促す仕組みを整えるとさらに効果的です。

次の章で紹介する具体的なインバウンド施策では、主に「旅マエ(訪日前)」で取り組むべき集客に絞って、代表的なものをいくつか紹介します。

インバウンド集客の代表的な方法8選

インバウンド集客の成功には、さまざまな訪日観光客向けの施策を行うことが重要です。

自社Webサイトの多言語化や海外OTAへの掲載、SNSの運用、Googleマップの活用など、具体的な手法を組み合わせることで、効果的な集客が可能になります。

それぞれの方法について詳しく解説し、訪日観光客のニーズに応えるための具体例を紹介します。

自社Webサイトの多言語化

自社Webサイトの多言語化は、海外向けのビジネスを成功させるために欠かせない手法です。

英語を中心とした主要言語に対応することで、日本旅行を想定している外国人のアクセスを増加させられます。

Webサイトの多言語化を行う際は、機械翻訳の利用に注意する必要があります。

Google翻訳といった自動翻訳ツールは便利ですが、時に正確さに欠けることがあり、ユーザーが誤解を招く表現になる恐れがあります。

もし予算に余裕があるのであれば、専門の翻訳者への依頼も検討しましょう。

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海外向けコンテンツSEO

海外向けコンテンツSEOも、インバウンドの代表的な集客方法です。

例えば、自社商品の使い方を動画で紹介したり、開発秘話をブログに書いたりすることで、外国人の興味を惹きつけます。

SEO対策としては、国ごとの言語に応じた適切なキーワード設定やメタタグの最適化が重要です。

また、旅行者向けには、東京の隠れた観光スポットを紹介する記事など、オリジナリティに溢れたコンテンツのほうが作り手の熱意が伝わります。

魅力的なコンテンツとSEO対策を組み合わせることで、海外のユーザーからの集客増につながります。

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SNSアカウントの運用

SNSアカウントの運用は、インバウンド集客では必ず押さえておきたいマーケティング手法です。

例えば、Instagramでは観光地の美しい写真を投稿することで、旅行者の興味を惹きつけることができます。

Facebookでは、イベントの告知を行うことで参加者を増やすことにもつながります。

国ごとに流行しているSNSは異なるため、トレンドを把握することも大切です。

一例として、中国市場を狙う場合はWeibo(ウェイボー)の活用が重要です。

中国ではFacebookやX(旧Twitter)を利用できないため、Weiboを通してPRを行うことが求められます。

次は一例として、台湾のSNS利用率を見てみましょう。

台湾は中国大陸とは大きく異なり、幅広いSNSが利用されているのが特徴。モバイル端末でインターネットを利用する人が93.8%と、日本を凌ぐスマホ大国でもあります。

調べ物や買い物をスマホで完結する人が多く、エンタメ系のSNS投稿や動画の視聴率も良いため、自社の商品・サービスのプロモーションに合ったSNSを選べるのが魅力です。

また、他の国々とは異なり、Meta社の「Threads(スレッズ)」の利用率が高いのもポイントです。

ターゲットとなる国のSNS利用率を細かく調査することで、SNSアカウントの方向性や投稿内容を決める指針となります。

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インフルエンサーやKOLとコンテンツを制作する

インバウンド集客において、インフルエンサーKOL(Key Opinion Leader)の活用は非常に効果的な戦略です。

影響力のある個人の投稿を通じて、ターゲット層に自然なかたちで商品・サービスをプロモーションできます。

インフルエンサーとKOLの違いについては、以下でまとめています。

集客アカウント特徴
インフルエンサー・SNSなどで多くのフォロワーを持つ
・幅広い層に影響力を持つ
・主に一般消費者向けの商品やサービスに効果的
KOL(Key Opinion Leader)・特定分野での専門知識や経験を持つ
・業界内で信頼されるご意見番的な存在
・より専門的な製品やサービスに適している

違いを一言で表すなら、インフルエンサーは「幅広さ」KOLは「専門性」が特徴です。

宣伝したい商品・サービスと相性の良いインフルエンサー・KOLとのコラボコンテンツを投稿することで、ブランドの認知度や信頼性をさらに高めることができます。

外国人観光客向けポータルサイト(海外OTA)への掲載

訪日観光客からの認知度を高めるために、ExpediaやAgoda、Hotels.comなどのオンライン旅行予約サイト(OTA)へ掲載する方法があります。

宿泊施設だけでなく、観光ツアーや体験型アクティビティなども掲載可能です。

例えば、東京のホテルがExpediaに掲載されると、世界中の旅行者はスマホアプリなどから簡単に予約できるようになります。

また、アメリカの「トリップアドバイザー(TripAdvisor)」に自社の観光ツアーを掲載することで、多くの旅行者の目に留まりやすくなります。

OTAへの掲載は集客力が高い一方で、掲載料や手数料が発生するため、費用対効果を考慮して利用することが重要です。

掲載料を支払った場合、どれだけの予約が見込まれるかを事前に計算しておくとよいでしょう。

海外口コミサイトへの投稿・連携

海外向けの口コミサイトへの投稿や連携も効果的です。

具体的には、中国人利用者が多い「大衆点評」や「Fliggy」、台湾では「批踢踢(PTT)」「Dcard」「背包客棧」、欧米人向けにはトリップアドバイザーが挙げられます。

海外口コミサイトに自社の商品やサービスの情報を投稿することで、外国人旅行者からの評価を獲得しやすくなります。

さらに口コミ投稿と連動したクーポンや割引キャンペーンを提供することで、利用者の購買意欲を高めることが可能です。

一例として、レストランがトリップアドバイザーにクーポン情報を掲載することで、旅行者の来店を促進することができます。

Googleマップの活用(MEO対策)

Googleマップは、世界中で利用されている最大の地図アプリです。

訪日外国人が現地でお店を探すときや、口コミをチェックする際にも利用されています。

そのため、Googleマップ上で店舗情報を上位に表示させるためのMEO対策(Map Engine Optimization)は、インバウンド集客において非常に効果があります。

まずはGoogleビジネスプロフィールを登録し、お店の情報を詳細に整えることが重要です。

営業時間・住所・電話番号といった基本情報だけでなく、カテゴリー設定も正確に行いましょう。

また、最新情報を発信することで、ユーザーからの信頼性が増します。

Webサイトやサービスメニューの翻訳と多言語化

Webサイトやサービスメニューの翻訳と多言語化は、インバウンド集客において重要です。

英語・中国語・韓国語・スペイン語などの多言語化を図ることで、訪問者が自国語でサービス内容を理解しやすくなります。

領域メニュー多言語化のメリット
飲食店外国語のメニューを用意することで、食材やアレルギー情報を正確伝えられる。
観光施設外国語対応の看板や案内が訪問者に安心感を与え、サービスをより利用しやすくする。
美容・スパ希望するプランやサービスの意図を理解し、正確にメニューを選べる。

旅マエ以外のインバウンド集客施策を紹介

直接的な集客施策ではありませんが、訪日観光客が利便性を感じやすいサービスもあります。

紹介する施策はいずれも個人の飲食店や店舗型のインバウンド集客施策として有効であり、サービスを充実させることで旅ナカの消費にも大きく貢献します。

無料Wi-Fiの設置

訪日観光客は、次の目的地の情報を調べたり、交通手段を確認したりする際に、無料Wi-Fiの存在を重視します。

欧米では街中のいたるところに無料Wi-Fiがあるため、現地での状況に慣れている観光客は、日本のWi-Fi環境に不満を感じることがあります。

実店舗がある場合、店内にWi-Fiを設置するだけでなく、受付や入口など目立つ場所に「Free Wi-Fi」の看板を掲示することで、さらに集客効果が高まります。

キャッシュレス決済の導入

インバウンド集客を強化するためには、キャッシュレス決済の導入は欠かせません。

多くの国では、クレジットカードやスマホ決済、QRコード決済が一般的です。

現金しか使えない店舗やサービスでは、訪日観光客が利用を避ける可能性があり、収益獲得の機会を逃すことになります。

具体的には、店舗で利用可能な支払い方法を明示することで、顧客に対してアピールできます。

また、スタッフの作業負担の軽減や人為的ミスの防止にも繋がります。

ただし、手数料などのコストも考慮して導入を検討することが重要です。

インバウンド施策のご相談はShiroKuへ!

インバウンド集客を成功させるためには、多言語対応のWebサイトやSNSの活用、海外OTAへの掲載、Googleマップの最適化など、さまざまな手法を組み合わせることが重要です。

一連の施策を取り入れることで、訪日観光客のニーズに応えながら、集客を最大化できます。

インバウンドの施策を行いたい場合は、海外集客やサービス展開の実績が豊富なマーケティング会社を選んで相談しましょう。

海外SEO対策の相談ならShiroKuへ

ShiroKu株式会社では、海外SEO対策や多言語コンテンツ制作、インバウンド集客など、海外向けマーケティングサービスを手掛けています。

経験豊富なネイティブスタッフが多数在籍し、海外の知見を活かして戦略設計からサイト制作、集客、分析、改善まで一貫体制で集客をサポートいたします。

自社サイトやサービスの海外展開を考えている方は、ぜひShiroKuにご相談ください。

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執筆者

八十島 匠(やそじま たくみ)

フリーランスライターとして5年ほど活動したのち、独学でWebマーケティングを学び、大手観光メディアを運営する会社のディレクターに抜擢。旅行・観光系ジャンルを中心に、美容・インテリア・グルメ・ファッション・人材・テクノロジーなど、さまざまなメディアの立ち上げに従事。SNS運用や縦型動画をはじめとした最新マーケティング・海外SEO戦略にも幅広い知見を持つ。

監修者

李美玲(リ・メイリン) 

台湾でWeb制作会社やデジタル広告代理店を渡り歩き、Webキャンペーンの企画、ディレクション、コピーライティング、広報など多岐にわたる経験を積んだのち、2017年に来日。ネイティブ視点に基づいたマーケティング企画の立案やコンテンツ制作を得意とし、中小企業のサイト構築・集客から大手企業のインバウンドメディア立ち上げプロジェクトにも参画。台湾・香港の最新マーケティングにも精通しており、多岐にわたるニーズにお応えします。